栗が、安い。しかもかなり安い。
大田市場での卸値が約432円/kgと、ここ1年の最安値(約540円/kg)を大きく下回り、年間を通じて見ても珍しい水準に滑り込んできた。秋の味覚の代名詞みたいな顔をしておきながら、真夏手前のこの時期にひっそりと値を崩してくる。市場というのは、本当に毎朝おもしろい。
ただ、なぜここまで下がっているのか——産地の事情なのか、流通のタイミングなのか、データからは読み取れない。「理由なき安値」を見つけたときほど、慎重に手を伸ばすくらいの気持ちでいたほうがいい。とはいえ、だしをしっかり引いた炊き込みご飯や、栗きんとんのような使い道を考えるなら、今が仕込み時であることはたしかだ。
今週カゴに入れていいのは、これ一択に近い
栗の話で盛り上がってしまったが、日常の食卓という観点ではブロッコリーのほうが今日の主役かもしれない。
市場の卸値は約342円/kg。スーパーでは1株あたり180円前後が目安になりそうで、昨年同時期と比べても割安な水準にある(実売価格は地域や店舗の規格によって変わります)。
この時期のブロッコリーは、だしとの相性が抜群にいい。昆布だしでさっと煮含めるだけで、茎の甘みがするりと前に出てくる。塩と薄口醤油で整えて冷やしておけば、翌朝の副菜になる。高温になると色が悪くなるので、火は入れすぎないのが正解。安いときにこそ、素材の味でちゃんと食べてみてほしい一品だ。

すいかは焦らない。来週以降は別の果実に期待する
気になる人も多いだろうすいかは、今週は様子見でいい。市場の卸値が約249円/kgで、1/4カットにするとスーパーで1,570円前後になる計算。昨年より明らかに高い水準で、今のところ「季節だから買う」には割に合わない値段だ。もう少し待てば相場が落ち着く可能性もある。
その間に注目しておきたいのが、来週以降の動きだ。もも・とうもろこし・だいこんの3品目は、例年この時期から値下がりしやすい傾向がある。昨年の同時期データでは、ももが約77%、とうもろこしが約50%、だいこんが約36%それぞれ下落している。もちろん今年も同じとは限らないが、週末の買い物の参考にはなる。特にとうもろこしは、来週あたりから「だし素材」として使うのにちょうど良くなりそうで、個人的には楽しみにしている。
【余談:光と野菜の話】
夏至まで10日ほど。日照時間が伸びるこの時期、野菜は光合成のペースが上がり、糖度や旨みが乗りやすくなると言われています。価格が動くのは気温や流通だけでなく、こうした生育サイクルの変化も遠因になっているのかもしれません。市場の相場を読むのは、実は自然の暦を読むことと地続きの作業です。
今日の一皿:ブロッコリーと栗のクリームスープ
「子供が好きな一皿」というテーマで考えると、今日の相場の組み合わせはそのままスープになる。
ブロッコリーをたっぷり使ってミキサーにかけ、下茹でした栗を角切りにしてゴロゴロ加えるクリームスープ。昆布だしをベースに牛乳を合わせると、バターなしでもやさしいコクが出る。栗の甘みがブロッコリーの青みをうまく包んで、子供でも食べやすい味に仕上がる。仕上げに生クリームをひとたらしすれば、見た目もそれなりに様になる。
旬の価格が重なったタイミングでしか作れないレシピというのがあって、これはまさにそういう一皿だ。今週のうちに一度、試してみる価値はある。

今日の市場は、予想外のところから話が転がった日だった。栗の安値は今後どう動くかわからないし、すいかはもう少し粘ったほうがいい。でも、ブロッコリーだけは迷わずカゴに入れて帰ってほしい。だしで食べると、また違う顔を見せてくれる。
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